世界の金融街TOP25

イギリスのシンクタンク・Z/Yenは、世界の都市の金融街としての力を、「ビジネス環境」、「人的資本」、「インフラストラクチャー」、「金融セクターとしての発展性」、「世評」の分野をそれぞれ数値化し総合的にランキング化した、Global Financial Centres Index(GFCI)を半年ごとに発表しています。


ここではそのランキングをもとに、各都市の金融街を紹介します。

*2022年3月のデータに更新しました(2022年9月21日)。


参考 : 世界・億万長者の多い都市ランキングTOP15 / 世界・富裕層の多い都市ランキングTOP15世界的大企業の本社が多い都市ランキング世界・賃料が高い繁華街ランキングTOP10世界の都市・中心街のアパート価格(1平方メートルあたり)トップ25


1位 ニューヨーク (アメリカ) ウォール・ストリート

マンハッタン島の南端部に位置する通りのあたりを指す。1652年、他国からの攻撃に備えて、オランダ西インド会社が作った防護壁(Wall、1699年解体)のあった場所である。1792年、材木の取引のため商人や投資家が集まり、非公式に開設した取引所が現在のニューヨーク証券取引所のはじまりである。第一次、第二次世界大戦を通じ、ロンドンのシティにかわり世界の金融の中心となったが、かつて本社を置いていた金融資本の多くは現在、他地域に去っている。ニューヨーク証券取引所の時価総額は26兆2000億ドル(2021年)で、世界最大級の時価総額を誇る。


2位 ロンドン (イギリス) シティ

ロンドン証券取引所や中央銀行にあたるイングランド銀行、保険市場・ロイズなどが置かれる金融センター。古代ローマ時代に作られた城壁「ロンディニウム」がそのまま現在のシティにあたる。HSBCの本社などがある東ロンドンの新興金融地区・カナリーワーフも広い意味で「シティ」と呼ばれる。ロスチャイルド家が中心となって設立したイングランド銀行の本拠地であり、11世紀ごろから現在まで、大英帝国の植民地を中心に世界に張り巡らされた金融ネットワークの中心地である。ロンドン証券取引所の時価売買は5兆3771億ドル(2021年)。


3位 香港 (中国) 中環

中環(セントラル)は香港島北部に位置し、19世紀、香港を植民地化したイギリスが入植するにあたり、最初に作られた市域(クイーンズタウン、ビクトリア市)にあたる。イギリス資本の香港上海銀行や恒生銀行、香港証券取引所などが所在するアジア金融の中心地。近年の香港の政治的混乱などもあり、長らくその座にあった世界トップ3から一時陥落したが、再び3位以内に返り咲いた。香港証券取引所の時価総額は6兆1200億ドル(2021年)。


4位 上海 (中国) 陸家嘴(りくかし)

上海の中心部、浦東新区に位置する。1992年の改革開放以前は田園地帯であり、都市の中心は黄浦江を隔てた西側の外灘であった。19世紀以降、外灘には多くの海外金融資本の支社が構えられたが、共産中国成立後は撤退を余儀なくされていた。しかし改革開放に伴い陸家嘴金融貿易区が設けられると、優遇政策もあり急速に発展。世界を代表する高層ビル街が10年ほどで形成された。6兆9800億ドルの時価総額(2021年)を誇る上海証券交易所が所在する。


5位 ロサンゼルス (アメリカ) ニュー・ダウンタウン

ロサンゼルス中心街にある地域で、高層ビルが立ち並んでいる。20世紀初め頃からビジネス街として発展をはじめ、戦前には高級ショッピング街となった。1980年代に衰退したが、かつて「西のウォールストリート」と呼ばれた古くからの中心地・スプリングストリートに変わる新しい金融、ビジネス街として1990年代から再開発が進み、金融街ランキングの地位も近年向上している。


6位 シンガポール (シンガポール) シェントン・ウェイ

シンガポール南部に位置する、高層ビル街を貫く道路。シンガポール証券取引所(時価総額7332億7000万ドル)がある。マリーナベイに面する隣のラッフルズプレイスと合わせて、金融資本の地域拠点が集まる。


7位 サンフランシスコ (アメリカ) フィナンシャル・ディストリクト

サンフランシスコ北東部の町の中心に位置する高層ビル街。この地区には1882年からサンフランシスコ証券取引所があり、戦後パシフィック証券取引所と名前を替えて存在していたが、2002年にニューヨーク証券取引所との合併により消滅した。


8位 北京 (中国) 北京金融街

北京市中心から西部の西城区にあるビジネスセンター。北京市政府が1990年代初頭、この一帯に金融機関や監督省庁を集積させる都市計画を策定。1994年から一帯の旧市街地を取り壊し、公園や高層ビルの建設が始まった。銀行、証券、保険などの金融機関の本社や北京支社が集められ、「中国のウォール街」とも呼ばれる。中国の中央銀行である中国人民銀行や各金融業監視委員会も当地にある。


9位 東京 (日本) 兜町

東京・日本橋にあるアジア有数の金融街。町名は「日本橋兜町」。平将門の兜を埋めて塚にし、それが「兜山」と呼ばれたことが地名の由来である。明治時代、渋沢栄一が中心となって作った日本最初の銀行であり発券銀行としての機能も持っていた第一国立銀行が当地に設立され、後に東京株式取引所(東京証券取引所)が建てられた。東京証券取引所は現在、世界第5位の上場会社時価総額(5兆6790億ドル、2019年)を誇る日本の金融の象徴だが、近年、大手金融資本の多くが大手町などに本社を移している。またアジアの他都市との金融都市競争に押され気味で、ここ数年当ランキングの順位を下げつつある。


10位 深圳 (中国) 前海金融特区

前海金融特区は、深圳西部の香港北部にほど近い地域に作られた埋立地。2011年ごろから2020年にかけて建設が進んだ金融地区で、法人税や所得税率は低く設定されている。香港と並ぶ(海外投資家向けの)人民元のオフショア市場化や、スタートアップ企業の拠点化を目指しており、地価が高いためスタートアップ企業が育ちにくい香港との連携も計画されている。深圳証券取引所は中心街の福田区にあり、上場企業時価総額は5兆2400億ドル(2021年)を誇る。


11位 パリ (フランス) ラ・デファンス

シャンゼリゼ通りと凱旋門の延長線上のパリ西郊に位置する超高層ビル街。1958年に計画が着手された。2000年にアムステルダム証券取引所、ブリュッセル証券取引所と統合して誕生したユーロネクスト・パリが所在する。ユーロネクスト全体の時価総額は6兆8215億ドル(2021年)。


12位 ソウル (韓国) 汝矣島

汝矣(ヨイド)島は日本統治時代の1916年に軍用飛行場が建設された島で、飛行場は戦後の1953年に国際空港に、その後1971年まで空軍基地となった。1975年に国会議事堂がここに移転し、1979年に明洞から韓国証券取引所が移転すると、周辺に金融機関が集積するようになった。韓国証券取引所の本部は釜山でありソウルは支部扱いであるが、証券取引部門はソウルにある。証券取引所の時価総額は2兆3000億ドル。ソウルの金融都市としての評価は近年急上昇している。




13位 シカゴ (アメリカ) ループ

ループ状の高架鉄道「ループ」が走る、シカゴ中心部一帯を指す。古くから周辺地域で採れた農作物の集散地であったことから、世界の商品市場に大きな影響力を持つシカゴ商品取引所がループ内に設立された。現在はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に買収され、世界最大のデリバティブ取引所となっている。


14位 ボストン (アメリカ) フィナンシャル・ディストリクト

フィナンシャル・ディストリクトは、ボストンの中心部、郵便局広場を中心として広がるエリア。高層ビルが多く、ボストン連邦準備銀行や多くの銀行が地域支店を構える。


15位 ワシントンD.C. (アメリカ) 15番街金融歴史地区

ホワイトハウス東側一帯の15番街を中心とした地区で、2006年に歴史地区に指定された。19世紀から20世紀はじめにかけて建てられたボザール様式のビルが集中的に残り、多くの銀行が所在する。


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参考 : 世界・億万長者の多い都市ランキングTOP15 / 世界・富裕層の多い都市ランキングTOP15世界的大企業の本社が多い都市ランキング世界・賃料が高い繁華街ランキングTOP10世界の都市・中心街のアパート価格(1平方メートルあたり)トップ25


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