イギリスの都市・人口ランキングTOP10

イギリスの都市の人口ランキングトップ10です。


戦後のイギリス経済の衰退に伴う地方都市の人口激減、それとは対照的なロンドンへの人の一極集中という構図が見て取れます。

イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国) 人口 : 6788万人 (2020年)


1位 ロンドン (イングランド) 899万人

英:London。イングランド南東部、テムズ川河畔に位置するイギリスの首都。屈指の世界都市として芸術、ファッション、メディア、教育など幅広い分野に強い影響力を持ち、ニューヨークと並ぶ一大金融センターとしても知られる。2000年前、現在のシティ・オブ・ロンドン(シティ)にあたる場所にローマ帝国が作った「ロンディニウム」が都市の起源であり、わずか約1.6km四方の小さなその範域は中世以来ほぼ変わっていない。シティとそれを取り囲むインナー・ロンドン12区に加え、1963年の法改正で付け加えられたアウター・ロンドン20区をあわせた計33区の大ロンドンを一般的に「ロンドン」と呼び、緑地帯(グリーンベルト)で囲まれている。大ロンドンの市長の他に、名誉職としてシティの市長も存在する。7世紀にエセックス王国の首都、11世紀にイングランド王国の首都となる。17世紀の大火では市域のほとんどすべてが消失するも10年をかけて再建。19世紀には世界最大の人口を擁する都市に成長した。しかし1970年代以降、不況による公共サービスの停止や北アイルランド共和軍(IRA)によるテロの頻発などにより人々は郊外へ流出。1939年に861万人だった人口は1980年代に680万人にまで減少した。その後閉鎖された港(ドックランズ)の再開発を中心として貧困層の多かった東ロンドンの開発が進み、25年間で移民を中心に人口は200万人ほど急増。2015年には戦前の人口を超えた。2012年、同一都市として最多となる3度目のオリンピックが開催されている。


2位 バーミンガム (イングランド) 115万人

英:Birmingham。14世紀ごろまで小さな町だったが、産業革命期、ロンドン-リヴァプール間が鉄道で結ばれたことで両都市の中間点にある地の利を生かして発展した。ミッドランズ炭田地帯に位置し、近くに鉄鉱山があったことからその動力を生かした工業都市化が急速に進んだ。産業革命の原動力となった、ジェームズ・ワットによって改良された蒸気機関が初めて製造された地としても知られる。しかし工業化が進んだことでバーミンガムを含む周辺の重工業地域は、「ブラック・カントリー」と呼ばれるほど常に工場の排煙に覆われるようになり、また労働者が都市に流入したことでスラムも拡大するなど、その都市環境は劣悪を極めた。第二次大戦ではドイツ軍の爆撃を受け街は大きな被害を受けるが、再建の過程を利用してスラムを一掃した。1960年以降、鉄鋼業の衰えとともに人口の流出が続いているが、現在も自動車・航空機などの製造業が産業の中心である。


3位 グラスゴー (スコットランド) 62万人

英:Glasgow。スコットランド南西部に位置する同国最大の都市。紀元前からクライド川沿いに集落が形成される。ローマ帝国はこの地に前哨拠点を設置し、アントニヌスの長城を建設した。その後スコットランド王国の中心として発展し、12世紀にグラスゴー大聖堂が建設される。1451年にはグラスゴー大学も創設され、J.ワットや経済学の始祖A.スミスを輩出するなど、イギリスの産業革命において中心的役割を果たした。1707年にイングランド王国とスコットランド王国が合併。産業革命期はランカシャーで採掘される石炭と鉄鉱石を動力源として工業化が進み、グラスゴーでは綿工業を中心とした産業が盛んになった。また都市の発展に伴ってアイルランド等からの移住者が増え、大英帝国第二の都市と呼ばれるようになった。しかし第二次大戦後イギリス経済が悪化するとグラスゴーも凋落。1960年代には人口100万人以上を擁するヨーロッパ第4の都市だったが、その後行政区域の編成などもあり人口は減り続け、現在の人口に落ち着いている。


4位 リバプール (イングランド) 58万人

英:Liverpool。イングランド北西部に位置する都市。1207年にジョン王が建設。しばらくは小さな港町だったが、17世紀末に近郊のチェスター港が泥の堆積によって使用できなくなると、替わってリバプールがイングランド北西部を代表する港湾都市に成長した。植民地との貿易が盛んになった18世紀には、北アメリカ・西アフリカをむすぶ三角貿易の拠点として中心的な役割を果たす。1816年にリーズ・リヴァプール運河が、1830年にはリヴァプールとマンチェスターを結ぶ鉄道が開通し、交通の要衝となる。綿織物工業が発展していたマンチェスターから運ばれた商品は、リバプール港から世界に輸出され、19世紀末にはロンドンに次ぐ「大英帝国第二の都市」とまで呼ばれるようになった。最盛期は80万人近い人口を抱えていたが第二次大戦後、綿貿易と繊維産業は凋落し、イギリス全体が長期の不況に陥ると街も急速に衰退した。リバプール港はその歴史的重要性などから世界遺産に登録されている。ザ・ビートルズの出身地であり、ビートルズ関連の観光も盛ん。


5位 ブリストル (イングランド) 57万人

英:Bristol。イギリス西部の港湾都市。紀元40年ごろ、古代ローマ人が築いた「アボナ」という港がブリストルの礎。5世紀以降のアングロ・サクソン時代にブリストルは都市として形成され、「橋のある場所」を意味する「ブリグストウ」と呼ばれていた。10世紀ごろには商業港として栄え、13世紀から18世紀ごろまでロンドンに次ぐ都市であった。産業革命が進展する中で、マンチェスター、リヴァプールとの競争に敗れたほか、19世紀初頭に奴隷貿易が禁止されたこともあり、そのころにはかつてのような繁栄は失われていた。1978年に新たな外洋港ロイヤル・ポートベリー・ドッグが完成し、港湾都市ブリストルの地位を維持している。


6位 マンチェスター (イングランド) 55万人

英:Manchester。イングランド北西部に位置する内陸都市。紀元1世紀、古代ローマ帝国によって「マンクニウム」とよばれる前哨地が一帯に築かれ、その砦がマンチェスターの起源となった。産業革命期、綿工業が発展すると資本家は「マンチェスター派」を形成して自由貿易を推進した。1930年代には70万人いた人口も、第二次世界大戦後の「英国病」により急減。人口減少は2000年代まで続いた。一方1980年代には「マッドチェスター」と呼ばれるポップ・ミュージックの中心地となる。戦後、都市カウンティが再編され、都市州グレーター・マンチェスターの一部を占める都市区となったが、市の地位は保持している。それまでの軽工業にかわるサービス産業の発展により1980年代より徐々に盛り返し、今では経済的にはバーミンガムを追い抜きイギリス第二の都市となっている。


7位 シェフィールド (イングランド) 54万人

英:Sheffield。イングランド中部の工業都市。市域のうち半分近くが森林で占められている。川にかこまれ水車動力が得られたことや、鉄鉱石と石炭が近郊で産出したことにより鉄鋼業で発展。近隣のリーズやマンチェスターと並び、産業革命以来、英国工業の中心地として国の経済を支えてきた。1950年代以降主力産業が衰退し長く低迷状態にあったが、現在は英国有数の学術都市・科学技術集積地として息を吹き返している。


8位 リーズ (イングランド) 50万人

英:Leeds。イングランドの北部に位置する。羊毛工業が盛んで産業革命時にはその中心地となった商業都市。19世紀来の羊毛産業が不振になると産業転換を図り、現在はIT、金融等の経済都市として成長を遂げ、近年は「北の首都」とも呼ばれる。


9位 エディンバラ (スコットランド) 49万人

英:Edinburgh。スコットランドの東岸に位置するスコットランドの首都。グラスゴーにつぐスコットランド第2の都市である。11世紀、スコットランド王マルコム3世がここに城を築く。幾度ものイングランドから侵入を退けたが、1437年、それまで首都だったパースでジェームズ1世が暗殺されたのを機に、1492年にエディンバラに首都が移され、スコットランド議会も創設された。18〜19世紀には学問文化の中心地として栄え、ダーウィンら多くの科学者や思想家が活躍した。現在ではその美しい景観から観光都市として栄えている。


10位 レスター (イングランド) 47万人

英:Leicester。イングランド中央部に位置するイギリスで最も古い都市の一つ。ローマ時代は「ラタエ・コリタノルム」と呼ばれた。18世紀、グランド・ユニオン運河がレスターを抜けてバーミンガムまで通じたことで、交通の要衝となった。軽工業が発展するも20世紀終わり頃から衰退。しかしそれに伴いレスターは工業依存からいち早く脱し、産業の多様化を達成した。そのため、1929年の世界恐慌でもその影響を最小限に止め経済力を維持することができ、それがヨーロッパ中の難民の避難地としての地位を確立することに繋がった。第二次大戦後もあらゆる人種を受け入れ、現在でもインド系住民が3割を占めるなど、様々な人種が暮らす街である。


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