アメリカ・危険な都市ワースト25

アメリカにおける「人口10万人あたりの暴力犯罪件数」が多い上位25都市のランキングです(2018年度)。


かつて製造業で栄えるも、産業の構造変化によって現在は衰退した、比較的古い東部の都市に犯罪都市が多く集まる傾向が見て取れます。ミシガン州やフロリダ州が多くランクインしていることも特徴です。特に、デトロイト、フリント、サギノーは南北に一列に並んだ近接した都市であり、南のセントルイスも含み、この地域一帯は治安が悪い都市が多いといえます。

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1位 イースト・セントルイス (イリノイ州) 4888件

イリノイ州西部に位置し、ミシシッピ川をはさんで西側にミズーリ州セントルイスがある。製鉄や鉄道関連の産業で栄え、1926年にルート66が開通したことで都市は全盛期を迎えた。南部から黒人労働者が流入し、人口8万人ほどを抱えるイリノイ州第4の都市となる。世界的なジャズトランペット奏者のマイルス・デイヴィスも10代をイースト・セントルイスで過ごし、隣のセントルイスで演奏をしていた。しかし第二次大戦後、産業構造が変化すると失業者が増加し、街にギャングが溢れるようになる。1971年に初の黒人市長が当選するも、都市の衰退が続き税収は低下。下水道は機能不全に陥り、ゴミの回収も滞った。1990年、セントルイスに隣接するミシシッピ川沿いの地区に、世界一高く吹き上げる噴水(当時)とカジノを建設し、税収の増加を図った。また同時に隣町のセントルイスから鉄道も開通したが、人口の流出は止められず、現在の人口は27000人ほどと全盛期の三分の一に減少している。白人層が郊外へ流出する一方、仕事を変えることができない所得の少ない黒人層が都市に残ったため、黒人の割合は都市人口の98%を占める。現在も市全域のスラム化が進んで都市インフラが維持できなくなっており、ここ10年ほどは公表されているあらゆる指標で全米一の殺人率を記録している。街の再興をめざし近年は、廃墟を壊し都市農園に転換させる運動も興っている。





2位 ダービー (ペンシルベニア州) 3617件

フィラデルフィア近くに位置する、人口1万人ほどの都市。住民の5分の1が貧困線以下の生活を強いられており、犯罪が多い。ダービー全体の犯罪率はペンシルベニア州の平均より158%高く、全国平均よりも79%高い。特に暴力犯罪が多く、ペンシルベニア州の平均より355%、全国平均より266%高い。


3位 オーパ=ロッカ (フロリダ州) 2807件

人口15000人ほどの都市。1926年に航空の父・グレン・カーチスが、ムーア様式(イスラムとキリスト様式の融合)の建築をテーマに開発した都市。2016年、市当局が不正に資金を使い込んだことなどから市は財政危機に陥り、暴動も起きた。人口の3割以上が貧困線以下の生活を強いられている。


4位 フロリダ・シティ (フロリダ州) 2551件

マイアミ郊外、市街地としてはアメリカ最南端に位置する人口1万人の小さな都市。ホテルなどの観光施設が多い。人口の43%が貧困線以下の状況にある。


5位 フリント (ミシガン州) 2109件

人口10万ほどの都市。ゼネラルモーターズの創業の地であるが、GMの工場閉鎖に伴い市の財政が破綻すると、警察に予算を割けなくなり治安が悪化した。市街地は荒廃し、治安状態は全米で最悪のレベルにまで悪化している。





6位 デトロイト (ミシガン州) 2059件

20世紀初頭より自動車産業の都市として栄え、最盛期には人口180万人を数えた。しかし1970年代より日本車の台頭により、デトロイトの自動車産業は衰退を迎え人口が流出。ダウンタウンには浮浪者が溢れ、治安が悪化した。2013年に市は財政破綻。現在の人口は全盛期の半分以下の70万人ほどであるが、現在では地価の低下を逆手に取った大規模な再開発により中心市街地の再生が進み、ダウンタウンのオフィス入居率は9割台にまで回復してきている。しかし、郊外の住宅街の荒廃はひどく、相変わらず治安は良いとは言えない。


7位 サギノー (ミシガン州) 2021

デトロイトの北西に位置する人口6万人ほどの都市。歌手のスティービー・ワンダーの出身地。19世紀、木材業と製造業で栄えたが、20世紀後半にそれらが衰退すると治安も悪化した。


8位 カレッジ・パーク (ジョージア州) 1967件

アメリカ南部アトランタ近郊、アトランタ国際空港に隣接する小さな都市。都市名はかつて当地にあった女子大にちなむ。2008年にはわずか人口1万人の都市で、13件の殺人事件が起こっている。


9位 プリチャード (アラバマ州) 1936

アメリカ南部に位置する人口2万人の都市。南北戦争後より多くの黒人が住んだ。第二次大戦後、造船・軍事産業の街として発展する。当時の全米的な高速道路建設ブームにより交通の便がよくなったことでホワイトカラーが移住。郊外住宅も建設され、1960年代に人口は5万人近くまで増えた。しかし1980年代以降、市内の大手製紙工場が相次いで閉鎖されると失業者が増え、貧困と犯罪が問題化した。1999年に市は財政破綻。現在も人口の3割ほどが貧困線以下の生活を強いられている。


10位 ウエスト・メンフィス (アーカンソー州) 1929件

アメリカ南部、ミシシッピ川に面する人口2万人の都市。戦前、ウエスト・メンフィスは周辺の製造と流通の中心地であった。またBBキングが住み、エルヴィス・プレスリーが訪れるなど、ブルース音楽の中心地としても有名。現在は人口の6割以上がアフリカ系アメリカ人であり、3割ほどが貧困線以下の生活にある。治安が悪く、暴力事件は全国平均の4倍ほどの発生率を記録している。





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