世界主要都市・空港から都市中心地までの距離(アジア/オセアニア編)

世界中で旅客量が増加するに伴い、世界の空港間でハブ空港の座を巡る競争が激化しています。日本でも空港の利便性を高めるため、中心市街地から空港へのアクセスの改善が求められていますが、今回はATカーニー発表の世界主要都市ランキング上位50都市における、主要空港から都市中心地までの距離を調べました。


ここで言う「都市中心地」とは、首都ではない場合は市庁舎から、首都の場合は国の議会のことを指し、そこから空港への直線距離を計算しています。そのため、例外的に市庁舎や議会が町外れにある都市の場合、実質の中心市街地より数kmのズレが生じる場合があります。大体の目安の距離であるということをご了承ください。

今回は主要50都市の内、東京、大阪を含めたアジア・オセアニア地域の主要空港についてのデータです。

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東京 (日本)

東京国際(羽田)空港 14km

1931年開場。戦後一時GHQに接収されるも、長らく国内外から東京への空の玄関口だった。成田空港完成後の1978年から2010年まで国内線専用空港(台湾線やチャーター便除く)。2001年、羽田の拡張化が決定され、2009年に羽田/成田の国内外線一体運用へ方針が転換されると、第4滑走路が完成した2010年に、国際線定期便の受け入れと24時間営業を開始した。近年では空港改良の努力が評価され、国際空港ランキングの上位にランクインされるようになっている。世界二番目の客数を誇る羽田-新千歳線をはじめとする年間旅客数は8540万人、発着回数も45万回でともに国内最大。貨物取扱量128万トンは国内2位(データは2017年)。

成田国際空港 58km

1960年代、羽田空港が手狭になったため、政府は東京圏に新空港建設を決定。富里・八街での建設案の消滅、三里塚闘争など紆余曲折を経て1978年に開場。2004年までの正式名称は「新東京国際空港」。2002年、第2滑走路運用開始。2015年、LCC専用の第3ターミナル完成。現在第3滑走路の建設が計画されている。年間旅客数4434万人、発着回数26万回。航空貨物取扱量203万トンは国内最多である(データは2019年)。

茨城空港 81km

もともとは自衛隊の百里飛行場。1990年代より首都圏第三空港として百里飛行場を民間利用する機運が高まった。滑走路を改修、ターミナルビルを建設し、2010年に官民供用の「茨城空港」として運用が開始された。年間乗降客数は76万人(2018年)。都心から約80kmと大変遠く、最寄りの鉄道駅までも遠いが、中国からのチャーター便の増加もあり近年利用客数は増えている。





香港 (中国)

香港国際空港 26km

市内中心部にあった啓徳空港が手狭となっていたため、1992年に空港の郊外への移転が決定。啓徳空港は繁華街から2、3kmほどにあり、市街地のビルのすぐ上を急カーブを描きながら旅客機が着陸するため、騒音や安全面でも問題があった。宗主国イギリスの置き土産として、1997年の香港が中国に返還される日に合わせて開場する予定だったが、山を削る難工事だったこともあり1年開場が遅れた。工事費はかさみ、世界で最も建設費の高い空港であるとも言われる。現在第3滑走路の建設が進められている。アジアを代表するハブ空港として年間旅客数6848万人、貨物取扱量は438万トンで世界一を誇る。年間発着回数406万回(2015年)。


シンガポール (シンガポール)

チャンギ国際空港 17km

旧パヤレバー空港が手狭となったため、1975年にシンガポール島最東端のチャンギ空軍基地の隣に空港を建設することを決定。1981年に開業。2本の滑走路を持つアジアのハブ空港となり、世界の空港ランキングでは常に上位に顔を出す。2019年には、人工滝や植物園なども備えた敷地面積13万平方メートルの大型複合施設「ジュエル・チャンギ・エアポート」がオープンした。年間旅客数5544万人、貨物取扱量185万トン、発着回数34万回(2015年)。


北京 (中国)

北京首都国際空港 26km

1958年に開港し、日本のODAにより1999年に大改造が行われ、3倍の広さとなった。さらに2008年の北京オリンピックに合わせ、新しいターミナルビルと新滑走路が建設され、市内と連絡する地下鉄も開業した。3本の滑走路を有し、中国国内最多、世界でも2位となる旅客数1億98万人を誇り、発着回数61万回も国内最多。貨物取扱量207万トンで国内3位(2018年)。

北京大興国際空港 43km

北京では、市街に近い北京南苑空港と北京首都国際空港の2空港が主力空港として運用されていたが、航空需要の高まりにより手狭になっていた。そのため北京南の郊外に、北京南苑空港に代わる首都第二空港を建設することが決定される。2019年9月に開港し、北京は巨大空港が並び立つこととなった。ヒトデ形の空港ターミナルビルは建築家ザハ・ハディドの設計によるもの。現時点では滑走路4本、利用客数は7200万人を想定するが、最終的には滑走路8本、利用客1億2000万人超の処理能力が想定され、アジア最大規模のハブ空港となることが予想されている。当空港の開港に合わせ、中国最古の空港(1910年開港)であった北京南苑空港は閉鎖された。


ソウル (韓国)

金浦国際空港 10km

第二次大戦前、戦中に日本によって滑走路が作られた。戦後米軍に接収され、朝鮮戦争中は重要な軍事拠点となる。1958年に金浦国際空港として民間利用が開始され、街の真ん中にあったそれまでの主力空港・汝矣島空港は軍用に転換されたのち閉鎖され、現在跡地には国会や政府機関が作られている。2001年に仁川国際空港が開港すると基本的には国内線専用空港となった。滑走路は2本。旅客数2460万人、発着回数14万回、貨物取扱量26万トン(2018年)。

仁川国際空港 42km 

1992年に首都圏新空港建設が決定され、2001年に開港。それまでの主力空港である金浦国際空港に発着していた国際線が全て仁川空港に移転した。開港以来、アジアを代表するハブ空港として名を馳せ、世界空港ランキングでも常に上位に位置している。3本の滑走路で運用され、年間旅客数5776万人、貨物取扱量271万トン、発着回数33万回(2016年)。





シドニー (オーストラリア)

シドニー国際空港 7km

1920年に小型飛行場として開設。オーストラリア人飛行家のチャールズ・キングスフォード・スミスにちなみ正式名称は「シドニー・キングスフォード・スミス国際空港」。滑走路を3本を有し、世界で三番目に旅客数が多いシドニー-メルボルン線を捌いている。空港周辺は住宅地のため制約が多く、深夜早朝は発着ができない。このため、1980年代より新空港を建設する計画が持ち上がっている。年間旅客数4444万人(2017年12月-2018年11月)、発着回数32万回(2014年)、貨物取扱量132万トン(2012)。


メルボルン (オーストラリア)

メルボルン空港 19km 

当時メルボルンの主要空港だったエッセンドン空港の後継として1970年にオープン。「タラマリン空港」とも言われる。交差する2本の滑走路を持つ。年間旅客数3739万人、発着回数23万回(ともに2018年)。

アバロン空港 49km

1953年の開場のメルボルン第二の空港。主に格安航空会社が就航している。滑走路は一本。年間乗客数は推定で50万から60万人ほど(2009年)。

エッセンドン空港 11km

1921年開港。1950年代にはオーストラリア第2の規模にまで拡大し、メルボルン初の国際空港になった。しかし、航空機需要の増大による逼迫化と、市街に空港があるためジャンボジェットの騒音が問題となり、1970年に郊外にメルボルン空港が開港。エッセンドン空港は国内線とチャーター便の運用が中心となった。年間発着回数は推定6万回(2006年)。


上海 (中国)

上海虹橋国際空港 13km

1923年に軍民共用空港として開港し、1964年に民間専用となった。メインは国内線だが、近年は羽田線を始め、国際線も多く飛ぶようになっている。滑走路は2本。年間乗客数4462万人、発着回数26万回、貨物取扱量40万トン(2018年)。

浦東国際空港 33km

虹橋空港の運用能力が限界に達したため、上海の街外れの浦東地区に1999年開港。徐々に滑走路の建設をすすめ、現在は並行する滑走路5本を有する24時間稼働の巨大空港となった。虹橋空港より市街から遠いが、リニアモーターカーにより8分で上海中心部に到達できる。年間乗客数7400万人、発着回数50万回、貨物取扱量376万トン(2018年)。計画では2025年までに年間1億人の乗客の利用を見込んでいる。





ドバイ (UAE)

ドバイ国際空港 5km

1960年開場。都心からわずか5㎞の位置にある、中東地域のハブ空港。2008年に開業したターミナル3は世界最大級の空港ターミナルである。滑走路は2本。2010年、当空港の混雑を緩和するため、40km離れた場所にアール・マクトゥーム国際空港が開業した。将来的に両空港はドバイ・メトロによって結ばれる予定。年間旅客数は8639万人であり、国際線旅客数では世界一位。発着回数は37万回、貨物取扱量251万トン(データは2019年)。

アール・マクトゥーム国際空港 44km

人工複合都市「ドバイ・ワールド・セントラル」内に作られた空港。ドバイ国際空港の混雑解消のため、2010年に部分開業した。当初は2017年全面開業の予定であったが、リーマンショックなどもあり2030年に延期されている。現在滑走路は2本だが、最終的には6本を備えた巨大空港になる予定である。2018年の旅客数は約90万人、貨物取扱量は98.8万トン。

シャールジャ国際空港 21km

1976年開場。LCCや近距離国際線、チャーター便、貨物便などが多く乗り入れる軍民共用空港。空港内にモスクがある。滑走路は1本。年間旅客数1199万人、発着数9万回、貨物取扱量は21万トン(2015年)で中東で3番目である。


バンコク (タイ)

スワンナプーム国際空港 27km

長らくバンコクの主力空港だったドンムアン空港に代わる中心的空港となるべく2006年に開場。そのためドンムアン空港は閉場していないが、空港コードもドンムアン空港から引き継いだ。成田空港の3倍の敷地面積を有する巨大空港で、現在2本の滑走路で運用されている(将来的には4本になる予定)。もともと1960年代から当空港の計画はあったが、紆余曲折を経て2000年代にようやく完成した。旅客数6086万人、貨物取扱量143万トン、発着回数35万回(2017年)。

ドンムアン国際空港 18km

1914年に空軍の飛行場として開港し、1924年に民間航空機の受け入れも開始した、アジアでも最も古い空港の一つ。戦後、欧州とオセアニアを結ぶいわゆる「カンガルールート」の中継点となり、アジアのハブ空港として発展した。2006年にスワンナプーム国際空港が開港すると、バンコクの主要空港の座を譲る。年間旅客数4075万人、発着回数27万回、貨物取扱量5万トン(2018年)。


台北 (台湾)

台北松山空港 5km

日本統治時代の1936年、民用空港として開場。早くも那覇との間で定期便が開設されている。日本撤退後も台湾の中心的空港であったが、1979年に中正国際空港(現・台湾桃園国際空港)が開港されてからは、国内線専用空港となった。市街地にあるため騒音、安全性に問題があり、桃園空港への移転統合も検討されている。滑走路は1本。年間旅客数622万人、発着回数5万回、貨物取扱量4万トン。

桃園国際空港 28km

1979年、松山空港から国際線の移転を目的として開港。当初は、台湾初代総統である蒋介石を記念して「中正國際機場」と名付けられた。2006年に現名に改称。2008年に中国との交流が拡大され、中国の大都市との直通便が大幅に増加した。滑走路2本。年間旅客数4868万人、発着回数26万回、貨物取扱量218万トン(2019年)。





クアラルンプール (マレーシア)

クアラルンプール国際空港 20km

それまでのクアラルンプールの空の玄関口だったスバン空港に代わる空港として1998年開港。「森の中の空港」をコンセプトに、建築家・黒川紀章が全体計画を設計した。4000mの滑走路3本を有し、将来的にはあと2本計画されている。年間旅客数4893万人、貨物取扱量75万トン、発着回数34万回(2014年)。

スルタン・アブドゥル・アジズ・シャー空港 14km

正式名称はスルタン・アブドゥル・アジズ・シャー空港。地名からスバン空港とも呼ばれる。シンパン空港に代わる空港として1965年に開港。当時東南アジアで最長の滑走路を持つ空港であった。長らくクアラルンプールの主要空港であったが、1998年、現クアラルンプール国際空港の開港とともに国内線空港となった。滑走路1本。年間旅客196万人、貨物取扱量3万トン、発着回数8万回(2018年)。


大阪 (日本)

大阪国際(伊丹)空港 11km

1939年に開設された大阪第二飛行場が前身。関西を代表する国際空港となったが、住宅街の真ん中に位置するため1970年代から騒音などの公害問題で住民訴訟が相次ぎ、運用時間や運用機材に制限が加えられた。これらの問題に対処するため空港の廃止も視野に入れられたが、1990年代に空港存続の方針が定められ、1994年の関西国際空港開港後は国内線専用の空港となった。しかし正式名称には「国際」の文字が残されている。滑走路は2本、運用時間は朝7時から夜9時まで。年間乗客数1454万人、貨物取扱量13万トン、発着回数13万回(2015年)。

関西国際空港 38km

1960年代、住宅街にあるために発着数拡大が難しい大阪空港に代わる、大阪第2空港の建設が決定。1994年に開港した。騒音対策のため、沿岸から5km離れた沖合に空港が作られた。埋立地の地盤沈下などにより工事費がかさみ、1兆円以上の費用がかかったと言われる。2007年には第2滑走路完成。近年は着陸料の値下げとインバウンド需要の増大に伴い格安航空会社の就航が増え、発着回数は右肩上がりである。年間旅客数2940万人、貨物取扱量81万トン、発着回数18万回(2018年)。

神戸空港 26km

反対運動など紆余曲折を経て2006年開港。海上都市・ポートアイランドのさらに沖合1キロメートルに造成された人工島に建設された。そのため神戸中心部へのアクセスが良く、三宮までポートライナーで18分で到達する。定期線は国内線のみで年間乗客数は313万人、発着回数2万回(2017年)。





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