中国の都市の区分
中国の行政区分はその成り立ちの歴史的経緯から非常にややこしく、市や県の概念が日本とは異なります。
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まず、「省級」、「地級」、「県級」、「郷級」の4層の行政区分に分けられます。
最上級の「省級」行政区分として、23の省、5つの自治区(チベット、新疆ウイグル、内モンゴル、広西チワン)、4つの直轄市(北京、上海、天津、重慶)が同じレベルで存在します。香港とマカオの2つの特別行政区も実質省級のレベルに位置します。
第二層の「地級」行政単位は地級市、自治州、地区、盟(内モンゴル)、省・自治区直轄県級市(19市)があります。地級市は市街地や農村までも含み、日本でいう県に近い概念です。地級市のうち特に重要な15都市を副省級市と定義し、ある程度の自治権を持たせている。
第三層の「県級」行政単位が県、県級市、市轄区(直轄市や地級市の市街に設置)、旗(内モンゴル)、自治旗(内モンゴル)、特区(貴州省)、林区(湖北省)です。これらは日本における郡のようなものです。よって、中国では市の下に県が存在することになります。
第四層の「郷級」行政単位が街道、郷、鎮、郷級行政区、民族郷、ソム(内モンゴル)です。日本でいう町や村に近い概念です。
重慶市以外の3つの直轄市は、直轄市=市域ですが、直轄市では重慶市のみが市の下に4県級市、18県、4自治県を持つため、市街地の市轄区のみを「重慶市」として見なすことがあります。また、都市化が進んだ地域では市轄区のみの地級市も多く存在します。
また中国ではこのような法的なランクとは別に、通念的に都市をランク付けする習慣があります。一般に考えられる都市の格付けは以下のようになります。
一線都市(政治経済において中国を牽引する重要度を持つ都市)
北京市、上海市、広州市、深圳市
二線都市(その地域において抜きん出ている都市、主に副省級都市や沿海都市など)
天津市、杭州市、蘇州市、重慶市、武漢市、青島市、廈門市、西安市、寧波市、瀋陽市、大連市、合肥市、鄭州市、無錫市、東莞市、長沙市、仏山市、昆明市、煙台市、石家荘市、太原市、南通市、常州市、済州市、温州市、貴陽市、烏魯木斉市、福州市、恵州市、泉州市など
三線都市(比較的発達した経済規模の大きい中小都市)
珠海市、紹興市、中山市、嘉興市、揚州市、唐山市、桂林市、淄博市、汕頭市、洛陽市、海口市、三亜市他多数
また1982年には、歴史的文化的価値の高い都市を保護する目的で「国家歴史文化名城」制度が作られました。
第一回で北京市、承徳市、大同市、南京市、蘇州市、揚州市、杭州市、紹興市、泉州市、景徳鎮市、曲阜市、洛陽市、開封市、荊州区、長沙市、広州市、桂林市、成都市、遵義市、昆明市、大理市、ラサ市、西安市、延安市の24自治体を指定して以降、現在は135の自治体が指定されています。
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